Scala入門としてCLIツールを作り、Scala.js, React, ScalaCSSでサイトを作った

fand.github.io

今年2月からScalaのチームに異動し、Scala入門している。

2月中はゆっくりコップ本を読んでいたのだけど、やっぱり手を動かさないと自信が付かないので、何かツールを作る事にした。
ついでにGitHub PagesもScala.jsやScalaCSSで実装してみた。

つくったツール

github.com

!!! 実用性は度外視しています !!!

レポジトリをまるごとコピーしてくれるやつ。
ブランチを移動する度にコンパイルで時間かかるのを回避するため、ブランチ毎にコピーしたらいいのでは、という発想(上手く行ってるかはわからない……)。
手で cp -r するのが一番はやいし、ツールを作るにしても普段だったらJSで書くとこだけど、今回はせっかくなのでScalaCLIツールを作ってみた。

使い方

brewでインストール可能。

$ brew tap fand/clonepool
$ brew tap fand/clonepool

clonepool -h でかっこいいヘルプが出る。

f:id:amagitakayosi:20170407162300p:plain

仕組み

内部では motemen/ghqpeco/peco を利用している。
$ clonepool rails/rails my-branch と入力すると以下の処理が走る。

  • $ ghq get rails/rails により、 $(ghq root)/github.com/rails/rails にレポジトリがクローンされる
  • ~/.clonepool/github.com/rails/rails/my-branch にコピーを作成
  • my-branch ブランチにチェックアウト

引数なしで $ clonepool とすると ~/.clonepool 以下のディレクトリを一覧できる。
cd $(clonepool | peco) とすると絞り込みつつ移動できて便利。

f:id:amagitakayosi:20170407162312g:plain

実装について

ほとんど scala.sys.process.Process を利用してシェルコマンドを実行しているだけ。
Gitレポジトリの操作ということで、最初はJGitを利用していたんだけど、シェルコマンドを利用したほうが楽なことがわかったのでやめてしまった。

Processの実行は scala.util.control.Exception.allCatch でラップしている。
allCatch {} は、ブロックを評価した結果をSomeで返し、例外が出たらNoneを返してくれる。

seratch.hatenablog.jp

個人的には、CLIツールを実装するときは気軽に死にたい。
JSだと、大部分ををPromiseベースで実装して、一番外側で全部catchするというのをよくやっている。
今回は getOrThrow という関数を作って、気軽に死ねるようにした。

https://github.com/fand/clonepool/blob/master/src/main/scala/example/Util.scala#L9

CLIツールを作るためのライブラリは SCOPTCLIST などがあるが、あんまり好みじゃなかったので今回は利用していない。
かっこいいヘルプは ansi-interpolater を利用して実装した。

homebrewでインストールできるように

Scalaのライブラリは、maven centralに登録したり、オレオレmavenレポジトリを作って公開するらしいけど、CLIツールを配布できるか良くわからなかった。
conscript を使えば簡単に配布できるらしいけど、利用者もconscriptをインストールする必要があってなんか面倒。
sbtはhomebrewで配布されているので、今回はsbtを真似てみることにした。

今回つくったformulaはこんな感じ。

https://github.com/fand/homebrew-clonepool/blob/master/clonepool.rb

sbtのformulaと大体同じ。
jarファイルをlibexecに配置し、bin/clonepoolに java -jar clonepool.jar するシェルスクリプトを置いている。

jarファイルはsbt-assemblyというsbtプラグインを利用している。
$ sbt assembly を実行すると勝手にjarが出来て便利。

github.com

GitHub Pagesについて

http://fand.github.io/clonepool

今回の目的はScala入門、ということでGitHub PagesもScala.js + ScalaCSS + Reactで構成した。
Octocatをクリック(またはタップ)すると回転します。

f:id:amagitakayosi:20170407162432g:plain

Scala.js

www.scala-js.org

AltJSの一種。Scalaで書かれたコードをJSに変換する。
一昔前に「機能もヤバいしファイルサイズもデカ過ぎてヤバい」って話題になってたけど、今では大分マシになってる。
今回のコードはgzip圧縮済みで122 KBだ。

sbt fastOptJS または sbt fullOptJSコンパイルする。
~fastOptJS とするとファイル変更をwatchしてくれる。
fullOptJS を実行すると70秒かかる……。

この前Webpack用のローダーが公開されたりしてたけど、今回はsbtで開発した。

https://github.com/mrdziuban/scalajs-loader

Scala.js自体の内容に関しては特に言うことなくて、ふつうにScalaって感じ。
ただ、あるクラスの子オブジェクト一覧を取得したくて scala.reflect.runtime を使おうとしたけど、なんか上手くいかなかったな、そういえば。

scalajs-react

Scalaは現代的な言語なのでReactも書けます

github.com

Scala.jsからReactを利用するためのライブラリ。 JSXの代わりに、 <.div() とか ^.src := "hoge" みたいな感じでDOMを記述する。

import japgolly.scalajs.react.vdom.html_<^._

<.ol(
  ^.id     := "my-list",
  ^.lang   := "en",
  ^.margin := 8.px,
  <.li("Item 1"),
  <.li("Item 2"))

(ドキュメントより抜粋)

記法自体は慣れたらそんなに難しくない。
しかし、コンポーネント自体とは別にBackendというクラスを書く必要があったり、独自の概念がたくさんあって大変。
何より実装がほとんど読めないのがしんどい……。

ScalaCSS

CSSScalaで書ける時代……!

github.com

scalajs-reactと同じ作者が開発している。
Super type-safe CSS とのこと。???????
例えば、widthなどのピクセルを指定する場所に無効な文字列を書くと、型が合わないといって怒ってくれる。

ScalaCSSはStandalone APIとInline APIの2種類のAPIを持つ。
単なるAltCSSとして使う時は Standalone APIを、CSS in JSを行なうときはInline APIを利用する。
今回は、コンポーネント毎のスタイルはInline APIで生成し、ページ全体で共通のスタイルはStandalone APIを利用して記述した。

この辺はtakezoeさんの記事で解説されてる。

takezoe.hatenablog.com

CSS in JSライブラリとしては、生成されるクラス名が .MyComponent--button のように予想しやすいクラス名になってしまうのが難点。 (多くのCSS in JSライブラリでは、クラス名をランダムな文字列にすることで、意図しないクラス名の衝突を回避している)

他にも、コンパイル時間が長かったり、対応していないCSSプロパティが多いので、得られる恩恵も割に合わない気がする……。 が、これも慣れてしまえば、書くの自体はそんなに難しくない。

最終的なコンポーネントの定義は以下のようになった。

package io.github.fand.clonepool.docs.components
import japgolly.scalajs.react._, vdom.html_<^._
import scalacss.Defaults._
import scalacss.ScalaCssReact._

object Link {
  val component = ScalaComponent.builder[Tuple2[String, String]]("Link")
    .render_P(t =>
      <.a(
        LinkStyle.link,
        ^.href := t._2,
        t._1
      )
    )
    .build
}

object LinkStyle extends StyleSheet.Inline {
  import dsl._
  val link = style(
    color(c"#EFF"),
    pointerEvents := "auto"
  )
}

その他

Sketchでロゴをつくったり、 http://realfavicongenerator.net/favicon生成したりした

今回学んだこと

  • Scala
    • allCatchで雑にエラーを扱う方法
    • Scala.js
    • Scala.js + React
    • ScalaCSS
  • homebrewのformulaを書く方法

今度はGolang + GopherJS入門しようかな〜〜

ハンズオンを円滑に進めるテク

新人教育の時期ですね。
みなさん研修資料の準備は大丈夫ですか?

僕はこの前Reactのハンズオンをやったんだけど、そこで心がけた事や学んだ事を共有します。
ハンズオンの内容については既に記事を書いたけど、細かい所を書ききれなかった。
amagitakayosi.hatenablog.com

新人研修やインターンでも使えるテクでなので、ご参考に。

やったこと

最初に完成形を提示する

ハンズオンで作るアプリについて、動画で説明した。
最終的な目標がわかると、今やっている作業の意味がわかりやすくなる。

いくつかのステップに分けて説明する

今回のハンズオンでは、8つのステップにわけて実装を進めた。
ステップ毎にテーマを与える事ができるし、ハンズオン自体の進捗もわかりやすくなる。

ステップ毎に足並みを揃える

ハンズオンでは、一度置いていかれると追いつくのが難しい。
参加者の進捗は頻繁に確認すること。

挙手を多用する

「出来ましたか?」って聞いても、答えてくれる人は少ないので、「出来たひと〜?」って挙手してもらうとよい。
(今回は挙手してもらいすぎたかも……)

お手本ブランチを用意する

ちょっと変則的なんだけど、今回はお手本ブランチを用意して、困ったときに参照できるようにした。
このブランチはステップ毎にgitのタグを打ってある。
ちょっと遅れたとしても、 git checkout step-2 等とすれば追いつけるようになっている。

スクリーンショットを多用する

わかりやすさは 画像/動画 >>> 文字 >>>>>>>> 口頭での説明 だと考えてる。
複雑な所では、keynoteやSkitchの機能で注釈を入れると良い。

動画のつくりかた
動画つくるの、実はそんなに面倒ではない。
Macの場合の手順は次のとおり。

スライドの冒頭で、教科書や資料へのリンクを表示する

資料は事前に共有されたい!
作業のペースは人によって違うので、手元で資料を見れるとグッと進めやすくなります。

会場のWiFi情報なども載せておくとラッキー。

前日にTwitterで事前準備をお願いする

git clonenpm install といった、時間のかかる作業は事前にお願いしておくと良い。

学んだこと

参加者同士の協力をお願いする

開始時に「参加者の皆さん同士で助け合ってくださいね!(^~^)」とか言っておくと良い。
Reactハンズオンでは、何も言わずとも良い感じに助け合ってくれて、とても助かった。

来場者の前提知識をハッキリさせる

gitを知らない人がgit checkoutできなくて困ってた。
必要な知識をリストアップして、事前に共有しておくと良い。
発表資料には、前提知識のない人のために適切な教材へのリンクなどを貼っておくとよい。
(当日解説してもいいが、往々にして時間が足りなくなる)

以上です

明日はエイプリルフールですね。皆様のご入社をお待ちしております。